新天町物語
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第27回
善行中学生を関西空の旅へ

■ハッとさせるアイデア満載の催しで、人を引きつけ話題をさらってきた新天町。1957(昭和32)年8月の催しは心温まるものであった。当時は「会社を明るくする運動」月間の真っただ中。このスローガンに賛同した新天町では、地域と連携する催しをと協議した結果、福岡市教育委員会と手を組んで、良い行いをした中学生を空の旅に招待して激励するという企画を思い付く。
計画は実行に移され、善行中学生13人(男子8人、女子5人)が同市教委より選ばれる。父や母を失いながら家計を助けて妹弟の世話をし、そのうえ学校の成績もトップクラスという感心な中学生たち。飛行機で旅行することが珍しかった昭和30年代、少年少女たちへの取って置きのご褒美となった。
一行は25日の午前7時25分、福岡空港発の日航機上り1便で大阪入り。大阪や京都の観光地を巡り、27日午前9時、博多駅着急行「あまくさ」で元気いっぱい帰着した。
この旅行に、新天町では旅費はもちろん、洋服、帽子。靴、下着までいっさいをプレゼント。日本航空でも航空運賃を3割引きにして後押しした。
翌年の8月6日、新天町事務所をセーラー服の少女2人がひょっこり訪れる。「昨年夏は空の旅に招待していただき、ありがとうございました。夏休みに恩返しに奉仕させてください」と申し出て、居合わせた一同を大いに驚かせた。感心な少女たちの好意をありがたく受け取った新天町は、中元大売り出しでてんてこ舞いであった事務を手伝ってもらったという。彼女たちの清い志は一服の清涼剤として、人々の心に残ったに違いない。

 
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