新天町物語
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第26回
メルヘンチャイムが完成

■大時計の長針と短針がぴたりと重なる。おじいさんと子どもたちが鐘をつき、ピエロが踊り出す。流れる軽快なメロディー。にぎやかに時を告げる新天町のからくり時計に、行き交う人々は足を止め、笑顔で見上げる。
高さ17m、幅7.5m、メルヘン広場にある大時計塔「メルヘンチャイム」は、1981(昭和56)年7月26日に完成。創業35周年を記念し、新天町のシンボルになるようにと設けられた。これは、78年から始まった新天町大改装の総仕上げとなるもので、福岡市の新名物として、また地下鉄開通の記念にと、新天町が構想をめぐらせていたものだった。
時計塔を飾る12個の鐘はすべてオランダ・ぺティ&フリットセン社の職人による手作り。一つ一つが入念に調律され、鐘の音が重なり合って美しいハーモニーを奏でる。日本初のお目見えであった。
メロディーは「エーデルワイス」「聖者の行進」「漕(こ)げよマイケル」など1時間ごとに異なる12曲。午後5時の「ラバースコンチェルト」、同6時の「黒田節」の選曲は、こよなく酒を愛した当時の新天町宣伝部長が担当した。
落成式にはハワイから親善大使として来福していたシゲル・ホトケ団長ら25人も出席。ハワイ州知事のメッセージを読み上げ、当時の新天町理事長に手渡した。オアフ島の学生によるハワイアン音楽とフラダンスも披露され、詰め掛けた観衆を喜ばせたという。
今日も鐘の音とともにメロディーが響き渡る。23年前、憩いと安らぎのある商店街への願いを込めて造られた時計塔は、新天町の顔としてすっかりおなじみとなった。

 

   
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